脂質異常症について
脳卒中は大きく①脳の血管が詰まる脳梗塞、②脳の中の血管が破れて血が出る脳出血③頭蓋骨とくも膜の間の血管が破れるくも膜下出血の3つに分類されます。
今回は、脳卒中治療ガイドライン2015に記載されています脳卒中の危険因子の1つ「脂質異常症」についてお話をさせていただきます。
脂質異常症とは、中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたし、血液中の値が正常域をはずれた状態のことで、2007年4月に日本動脈硬化学会が「高脂血症」から「脂質異常症」に名称を変更しました。
脂質異常症の値として、LDLコレステロール:140mg/dL以上の場合は「高LDLコレステロール血症」、120〜139mg/dLの場合は「境界域高LDLコレステロール血症」、HDLコレステロール:40mg/dl未満の場合は「低HDLコレステロール血症」、トリグリセライド(中性脂肪):150mg/dl以上の場合は「高トリグリセライド血症 (高中性脂肪血症)」のいずれかで、総コレステロールはあくまでも参考値としての記載にとどめ、診断基準から外されています。
脂質異常症と脳卒中の関係
脳卒中の危険因子としての脂質異常症ですが、その関与は脳卒中の病型により異なることも言われています。高LDLコレステロール血症は脳梗塞を、低LDLコレステロール血症は脳出血の発症リスクを高めることが疫学的な検討からも明らかにされています。その一方でスタチンによる脂質低下療法は、脳卒中の中でも特に脳梗塞発症・再発予防に効果が示され、その効果はLDLコレステロールを低下程度と関連することも示唆されています。
脂質異常症における治療
脂質異常症の治療は、①薬を処方して服薬する薬物療法、②食生活を改善させる食事療法、③運動習慣をつける運動療法が一般的とされますが、個別性があるので、不安な方は専門機関への受診をお勧めいたします。
参考資料
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脳卒中ガイドライン2019
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動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版: 25, 2018