脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の評価〜ADL編〜
脳卒中は脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の中の血管が破れて血が出る脳出血、頭蓋骨とくも膜の間の血管が破れるくも膜下出血があります。
今回は、脳卒中により入院中の方にとって知っておいてもらいたい内容になります。
入院中にリハビリを受けていると、月に1回「リハビリテーション総合実施計画書」、「リハビリテーション実施計画書」などの説明があり、書類にサインをするという場面があるかと思います。そもそもこの説明ってどういったものなのかはリハビリセラピストやお医者さんからは説明を受けていますか?
脳卒中リハビリステーションにこられるお客様の中にも、病院中にこんな紙が渡されてと、入院中の状態を教えてくださる際にご持参されるケースが多くありますが、実際にこれってどういった意味か分かりますか?と聞くとあまり理解されていないケースがあるのも実際です。
そもそもこのリハビリテーション総合実施計画書という書類は、脳卒中になられた皆様にとって、
- 今後のリハビリの内容や目標の共有
- 今どこまで身体機能が向上してきているのか
- 目標達成のためにどんな身体機能の獲得が必要なのか
といった話をセラピストから聞き、それに同意してくださることでリハビリを提供することができる、といった役割があるわけです。
私自身も病院勤務している時は、担当の患者様または、ご家族様にそのような説明を行っていました。
その中で、よくご質問を頂くのがADLについて、今回はその書類の中に出てくる「できるADL」、「しているADL」のお話をさせていただきます。
ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)
そもそも、「ADL」と言うのは、Activities of Daily Livingの略で、タイトルにもありますように日本語にすると日常生活動作になります。
セラピスト・看護師間では「〇〇様のADLどう?」、セラピスト・相談員間では家に帰ったらどんなADLに「介助が必要そう?」なんて話になったりします。
ここでいう日常生活動作とは、「ひとりの人間が独立して生活するために行う基本的なしかも各人ともに共通に 毎日繰り返される一連の身体的動作群を言う」という定義があります。
日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作で、以下の動作を指します。
日常生活動作
- 起居動作
- 移乗動作
- 移動動作
- 食事動作
- 更衣動作
- 排泄動作
- 入浴動作
- 整容動作
これらの動作って、朝起きてから寝るまでに必ず行う動作ですよね。
入院中は、毎日の入浴がないとは思いますが入院前は毎日行なっていましたよね。
さらに、起居動作とは、以下の動作のことになります。
起居動作
- 寝る
- 寝返る
- 起き上がる
- 座る
- 立ち上がる
- 立つ
「できるADL」と「しているADL」
セラピスト間でも混乱している人もいるかと思いますが、
ADLの中には「できるADL」というものと、「しているADL」というものがあります。
イメージとしては、
「できるADL」は
患者様自身がもっている最大の能力でのADLということになります。
「しているADL」は
入院中であれば病棟の中で実際に行なっているADLということになります。
例えば、ベッドから車椅子への移乗(乗り移り)の場面で考えてみましょう。
実際には移乗ができるけど、
危なっかしいからナースコースで看護師を呼んでから近くで見守ってもらって移乗している。
御家族様が、面会に来られている時は、御家族様の見守りのもので移乗をしている。
といった状態です。
「できるADL」では、「自立」となりますが、「しているADL」では、「見守り・監視」または、「軽介助・一部介助」といった評価になります。
ですので、入院中に「しているADL」というものが、退院した後のADLに直結する可能性があるわけなのでとても大事な評価になります。
また、入院中の外泊・外出の際にはここを確認せずに、本人が帰りたいから外泊させてみよう。となってしまうと、本人・御家族様共に家の中で大変な思いをされてしまう場合もあります。
病院から自宅に退院するときには、相談員やケアマネジャーにこの「しているADL」を共有し、どんな場面で介助が必要なのか、また、物的介助(手すりやL字柵、リクライニングベッドなど)で代用できるのか、人の介助が必要なのか。といったところで、介護保険などの社会資源の利用が関わってくるわけです。
そして、ここが患者様・御家族様・セラピスト・相談員・看護師・ケアマネジャーのそれぞれの想いが交錯するところになります。
ですので、御家族様であれば最初にお話しさせていただきました、「リハビリテーション総合実施計画書」または、「リハビリテーション実施計画書」の「しているADL」を参考に患者様の現状の把握を、「できるADL」でセラピストともに目指しているADLをしていただけたら良いかと思います。
また、退院先は自宅だけではなく、「施設」というものも考えられると思います。
そして、この施設選びは本人・家族にとってその後の人生を大きく変える可能性がありますので、しっかりと患者様・御家族様・セラピスト・相談員・看護師を中心に話し合いをしていただけたらと思います。
よかったら、施設を選ぶ際に参考にしてみてください。
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次回は、今回の話の中にありました「しているADL」の評価を。
次次回は、「できるADL」を。
病院の看護師・セラピストがどのように評価しているのかをお伝えさしていただきます。
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